【神奈川中央交通】豊田本郷駅

 神奈川中央交通の豊田本郷駅は、金目駅、大山駅とともに停留所に「駅」が付いており、小さな駅舎があった。国鉄(JR)との連絡運輸を行なっており、窓口では乗車券を発売していた。
 昭和3年に平塚と伊勢原を経て大山町に至る大山線の途中駅として設定され、平塚起点4.5mに位置する。バスの通し運行はなく、平塚駅北口~伊勢原駅南口間と伊勢原駅北口~大山ケーブル間に分かれている。
 相模地区の鉄道に詳しいサイト相武電鉄上溝浅間森電車庫付属資料館によると、神奈中では平塚~伊勢原~大山間にトロリーバスを運行する計画があったらしい。
 現在、平塚駅北口~伊勢原駅南口・伊勢原車庫間は複数の系統が設定されているが、メインは平90(平塚駅北口~追分~豊田本郷駅~伊勢原団地~伊勢原駅南口)で、日中15分間隔で運行されている。各系統とも豊田本郷駅折返しはない。
画像←ポール

 平成初頭に連絡運輸を解消し、無人化ののち解体された。駅舎跡地には上屋とベンチが設置されている。駅舎がなくなった今でも「駅」と名乗る。ただし、側面の行先表示は「豊田本郷」となっている。
画像←駅舎跡には上屋

 豊田本郷駅は旧豊田村の中心部で、バス利用者は多い。国鉄で自動券売機が普及していなかった頃、窓口では横浜方面の連絡乗車券が売れたと思う。しかし、国鉄・JRでは「オレンジカード」、神奈中では「神奈中バスカード」が普及する頃には窓口の使命を終えたようだ。窓口業務の受託者(JRの簡易委託駅のようなものか)や、いつまで営業していたのか不明である。神奈中サービスセンターとは位置づけが異なっていたようだ。
 なお、豊田村は昭和31年に大野村に編入されたのち、翌32年に平塚市に編入。現在でも豊田本郷の地名は残り、県道61号・平塚伊勢原線の豊田本郷交差点は県道605号・下糟屋平塚線が交差する交通の要所である。自転車を置いてバスに乗り換える人が多いようで、停留所の前は自転車の駐輪が目立つ。自転車駐輪場があれば便利だが、もともと駅舎のスペースが狭かったので難しいようだ。
画像←豊田本郷駅に「横付け」する平塚駅北口行

神奈川中央交通の自動車駅
 昭和62年3月に発行された「旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表」(著・旅客鉄道株式会社、発行・中央書院)によると、神奈川中央交通の連絡運輸路線名は次の通り。
▽阿久和線(接続駅=東海道線・戸塚、自動車駅=岡津、相模新橋、阿久和)
▽厚木線(接続駅=東海道線・戸塚、自動車駅=中田、和泉、長後町、用田)
▽半原線(接続駅=東海道線・平塚、自動車駅=相模神田、厚木町、愛甲田代、半原)
▽大山線(接続駅=東海道線・平塚、自動車駅=豊田本郷、伊勢原、大山町)
▽秦野線(接続駅=東海道線・平塚、自動車駅=金目、秦野町、南秦野)
▽中津線(接続駅=横浜線・淵野辺、自動車駅=上溝町、水郷田名、愛甲田代、半原)
▽中野線(接続駅=横浜線・橋本、自動車駅=久保沢、相模中野)
 連絡運輸を行っていた旅客鉄道会社は、東日本旅客鉄道と東海旅客鉄道の2社(以下、いずれもJRと略す)。連絡運輸区域は各線共通で、JR東日本が東海道線(東海道本線、南武線、横浜線、横須賀線、相模線、伊東線各駅)、中央線(吉祥寺・甲府間各駅)、東北線(川口・大宮間各駅、古河、小山、宇都宮、松戸・我孫子間各駅、土浦、友部、水戸、熊谷、高崎、前橋、伊勢崎、桐生、足利、栃木、下館)、総武線(市川・千葉間各駅、佐倉、成東、八日市場、銚子、大網・上総一ノ宮間各駅、勝浦、安房鴨川、館山、安房勝山、木更津、成田、佐原、小見川)、JR東海が東海道線(熱海・静岡間各駅)であった。
 取扱う乗車券の種類は、片道乗車券、往復乗車券、連続乗車券、団体乗車券。団体旅客に対する割引及び無賃の取扱いは行わなかった。

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